前十字靭帯損傷とその治療法について

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1.前十字靭帯とは

 前十字靭帯とは膝関節の中にある靭帯で、運動するときなどに膝を安定させる役目をしています。


2.前十字靭帯損傷とは

 受傷原因はスキー、バスケットボールやバレーボールなどのスポーツ外傷として生じることがほとんどです。中でも特徴的なことはジャンプの着地だけで切れてしまうような非接触型の損傷が多く、特に女性において顕著です。受傷後数分間は痛みのため動けないことがあります。また時間とともに膝が腫れてきて膝の曲げ伸ばしができにくくなります。通常この症状は1〜2週間くらいで改善し日常生活などは普通にできるようになりますが、スポーツ復帰したときなど、再度膝が外れて痛み、腫れなどがでてくることがあります。前十字靭帯を損傷したままで運動や生活を続けていると、半月板や軟骨といった膝のクッションの役割をする正常な組織が傷ついてきます。前十字靭帯損傷からの時間が長ければ長いほど、膝が痛くなる、腫れる、引っかかるなどの症状が出やすくなります。前十字靭帯損傷の主な症状は、「膝がぐらぐらする」「膝に力が入らない」「膝が完全に伸びない、正座ができない」「スポーツ復帰して何度も膝をはずしてしまう」「膝が腫れて、熱をもつ」などです。

 高木病院(青梅膝関節センター)では、前十字靭帯損傷の治療を専門的に実施しています。以下に、治療法について説明します。

1.筋力訓練

 スポーツをしない方は、大腿四頭筋などの筋力訓練やサポーターで様子を見ます。膝くずれを起こさなければ放置してもかまいませんが、日常生活で膝くずれを生じたり、疼痛があったりする方は手術を行うのが望ましいと思われます。

2.前十字靭帯再建術

 スポーツを行う方には、前十字靭帯再建術が勧められます。再建術は、膝の後内側にある屈筋腱を移植する自家移植が一般的です。競技種目によっては、お皿の下の膝蓋腱を用いる方法で手術を行っています。手術後のリハビリを経て、術後10〜12ヶ月後に元のスポーツに復帰しています。手術後のスポーツ復帰率は90%以上で、手術後は個人個人で筋力などの膝の回復度合いは違いますので、スポーツドクターと理学療法士が、それぞれの患者様にあったメニューを作成し、実施していきます。入院期間は4泊5日です。

手術後の再建靭帯
(関節鏡視下の画像)
手術後のレントゲン(右膝)

以下に患者様から良く聞かれる質問を載せてみました。ご参照下さい。

Q: 前十字靭帯再建術後の傷の跡はどれくらいの大きさなのですか?
A: 当院の方法では、膝のお皿の下方の両脇に約1cm傷跡が2カ所、向こうずね(脛骨)に約5cmの傷跡が1カ所。同時に半月板の縫合術をおこなう場合は、このほかに5cmほどの傷跡がつきます。
25歳女性 術後6ヶ月(右膝)

Q: 前十字靭帯の再建の手術をしなければどのようなデメリットがあるのですか?
A: 前十字靭帯が切れたままでスポーツを続けていくと、その後繰り返し膝をひねってしまうことが多いです。この症状を膝崩れ現象といい、その都度、正常な他の組織、例えば半月板や関節軟骨などが損傷されていくことが多いです。この症状は筋力を回復させても改善されないことが多く、元のスポーツレベルへ復帰するためには手術を選択する選手が多いようです。スポーツをしない日常生活だけ行えれば良いという人もなかにはいらっしゃるので、そのような人は必ずしも手術をしなければならないということはありません。整形外科の医師と相談してください。

Q: 年齢が高いと手術できないと言われました。何歳くらいまで手術は可能ですか?
A: 基本的に患者様本人のニーズにあわせて手術は行われます。最近では中高年の方でもテニスやバレーボール、サッカーなど趣味のレベルでスポーツを行っている方はたくさんいらっしゃいます。当院整形外科では、今後もスポーツを続けたいという意志と手術をしたいという希望がある方は、60代の方まで手術の経験があり、良好な成績を収めています。ただし、年齢が高くなればなるほど関節や骨の状態が悪くなるので、医師と細かく相談しながら手術をするか決定しています。

Q: 私は国体レベルのスポーツ選手ですが、手術後の入院中に他の部分が衰えてしまわないか心配です。
A: リハビリ室には、サイベックス、自転車エルゴメーター、全身の筋力トレーニングマシーンなどがあり設備は充実しています。膝に負担がかからない方法で、理学療法士が指導します。



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