従来、すべての胃、大腸、肝臓、胆のう、すい臓などの消化器の手術は、腹部に 30cmほどの大きな切開が必要でした。また安全性を確保する意味でも外科手術においては大きな創をあけてしっかり観察し、十分な手術をすることが最も重要と考えられてきました。
しかし近年、医療技術、機器の進歩によって、腹腔鏡というおなかの中を観察するカメラを併用することによって小さな創でも、安全で細かな手術ができるようにもなってきました。それに伴い以前は炎症のない胆嚢摘出術に限られていた腹腔鏡の手技が、患者さんによっては、炎症を伴った胆嚢の手術をはじめ食道・胃・大腸といった消化管の手術にまで応用され、より小さな傷口で体に負担をかけずに手術ができるようになってきたのです。
良いとされる点をいくつか挙げてみますと、
などが、あります。
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当院では、基本的に学会のガイドラインに則った治療方針としています。
胃癌 | : | 内視鏡的切除不能の早期胃癌と一部の進行癌が対象です。 |
大腸癌 | : | 内視鏡的切除不能の早期癌や進行大腸癌の一部などすべてほとんどを対象としています。 |
胆嚢 | : | 胆石症、胆嚢ポリープ |
虫垂炎、十二指腸潰瘍穿孔などの急性腹症。
その他、横隔膜裂孔ヘルニア、胃粘膜下腫瘍など
胃癌 | : | 進行癌に対しての腹腔鏡治療はまだ治療法として確立されていないため原則として開腹手術としています。 |
大腸癌 | : | 腫瘍の大きすぎるもの、癌がほかの臓器に浸潤しているものは基本的に開腹手術で対応しています。 |
肝臓癌、膵臓癌などに関しては現時点では開腹手術を主としています。
腹腔鏡の手術は腹腔内に炭酸ガスを入れておなかを膨らませて行う手術なのですが、心臓や肺の機能の落ちている方の場合リスクが高くなる場合があります。
また、過去の手術によって高度の癒着が予想される場合には開腹手術のほうが適切であることもあります。
また、当院では腹腔鏡のみで手術を行うことを一番の目的とするのではなく、個々の患者さんが求める最良の結果に近づけるために腹腔鏡を利用することを御理解いただいた上で治療にあたるようにしております。